偶人奇譚 Ⅰ 虫食み仏

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闇の中に怪物が立っていた。
ゆらりと前に伸ばされた腕。その爪はひどく伸びている。
硬直した体躯は微動だにすることなく、不気味な姿勢を保ち続けている。
青紫色の霊符を貼られた顔からは、その表情を伺い知ることはできない。
札の隙間からは双眼が妖しく輝く。おぞましく深い緑色の光。
語られるはずのない怪異がそこにいた。

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